Steering your life (舵を取る) ー私の人生経験からー

2017.06.02

Steering your life (人生の舵を取る)

自分は何がしたいのか?(悩むビジネスパーソン達)

 最近、「自分は本当は何がしたいのか?」と将来について悩む方々のお話を聞いたりすることがあります。これは、何も若者に限った話しではありません。ちょうど、働き盛りの仕事経験を積んできた30代から40代のビジネスパーソンも、同じような悩みを抱えていることが多いのです。理由は様々ですが、このような方々と接していて感じるのは、「自分の人生を生きていない」ということです。一体どういうことなんでしょうか。
 
 実は、「自分の人生」について、本当に理解している人は極めて希です。本当の「自分の人生」を歩めている人は、最高に幸せな状態を手にしています。それは、社会的地位を手にしているとか、お金持ちであるとか、学歴が高いとか、所謂、世間一般的な価値基準での成功を意味しません。また、親の期待するような生き方でもありません。
 
 自分の人生を生きるには、自己理解を深めることがとても大切になります。自分が本当に大切にしていることは何なのか?を頭で考えるのではなく、数々の経験や他者との触れ合いを通じながら、確かめていくような作業を重ねる必要があります。自分の人生を生きるとは、「自分の大切にしていることを大切にしていくこと」です。それは、本人しか知ることのできない人生のあり方です。
 

 

マイストーリー(私の人生経験)

 著作『評価の基準』(日本能率協会マネジメントセンター刊,2017年5月)でも少しだけ、私の人生について触れていますが、私の社会人デビューは、いきなりの挫折でした。書籍のキャッチコピーにもなっていますが、大企業から転落して、突如フリーターに。当時は、何も考えずにただ、「この閉鎖的な組織から脱出したい」、「自分がいったい何をやりたいのかゼロから考え直したい」、そんな思いで、次の就職先も見つけずに飛び出したんです。
 
 それで、退職してから最初に出かけたのは、伊豆諸島の「新島」。とにかく、大自然に浸りたかったのです。新島に向かったのは7月当初。誰もいない真っ白な砂浜と青い海の中に溶け込んで、ゼロ状態を体験しました。その時感じたのは、
 
「ああ、俺って生きてるんだ!」です。
 
 大銀行の総合職として将来を期待されていた頃の自分は、はっきり言って死んでいました。世間的には立派に見える仕事なのかもしれませんが、私にとったら生きた心地のしない場所。髪の毛は抜け落ちるし、毎日胃薬の世話なるし、倒れて救急車で運ばれるし。仕事でミスするととんでもない罵声が浴びせられることもある。
 
 一体なんのために大企業に就職したのだろうか?そもそも、なんで働くのだろうか?いきなり社会人として挫折した私は、働くことの意味すら分からなくなってしまいました。だから、自分をゼロにする必要があったんですね。新島で鋭気を養ってからも、しばらくは与論島とかに旅に出てました。
 
 後先のことは全く考えてなかったんです。今、思えば、自分をゼロにする体験があったからこそ、漠然ではあるものの、自分が将来やりたいことが見えてきたという事実があります。
 

バーテンと土木作業員の仕事を始める

そうして、だんだんと本来の自分が取り戻せてから、神戸でお世話になったバーのマスターに誘われるままに、神戸でバーテンを始めることに。でも、2か月と持たず、バーテンを辞めることにしました。とても楽しかったし、素晴らしい仕事だと思いましたが、自分が一生やりたい仕事かと言われればそうではなかったからです。
 当時は、「こんな仕事をやりたい!」といったような明確なものは何もなかったですね。ただ、「海外に留学したい」とか、「海外で働きたいな」という漠然とした夢しか持ってなかったです。
 
 バーテン辞めた後は、土木作業員を1か月ほどして食いつないでました(笑)。当時の日給で1万5千円ほど。「これは、おいしい仕事ではないか?」と飛びついたのですが、その仕事が急募されていた理由は、前任が熱射病で倒れて人繰りに困ったいたから。真夏の炎天下で、鉄パイプを人力で運ぶという大変楽しい仕事だったのです(^.^)。幸い身体は鍛えていたので倒れることはありませんでした。
 
 大企業から転落して、土木作業員をしていた僕を見て、両親は心配はしていましたが、私は「自分の人生だから自分で切り開く」という信念だけはもっていたので、両親が何を言おうとやりたいことをやろうと決めていました。チャンスはどこにでも転がっているだろうから、と。だから、親の世話になるようなことだけはしたくないな、とおもって親元からは離れていました。
 

実家へ戻る

 ところが、中学時代にお世話になった英語塾の恩師からお誘いをうけて、塾講師として実家に戻ることになったんです。実家から車で10分の英語塾。わざわざ一人暮らしもお金がかかるので、実家に住まわせてもらうことにしました。両親はもしかしたら内心嬉しかったのかもしれませんね。近くに息子がいてくれて。
 
 でも、私は海外に留学して海外で働きたかったから、田舎は素晴らしいと思うけど、早く実家から出ないとダメになるとおもって、必死で留学準備を進めていました。でもね、お金貯まらないんですよ、これが(笑)。当時はアメリカに留学したくてコツコツお金貯めていたんですけど、行きたかった大学院は、学費だけで年間400万円、2年だと生活費いれたら、1000万円以上かかる。。。「何年かかるかわからないなあ」とため息まじりの連続でした。
 
 そんな時に、今の奥さんとと出会い結婚話が進みだしていく。当時私は、不安定な片田舎の塾講師。彼女の親は代々教師の家系でプライドもお高く、安定志向の公務員。こりゃ、今のままだと幸せにはできないなあ、と思いつつ、私は留学して海外で働きたいし。。。どうしたらいいの?ってとっても悩んでいました。
 

千載一遇のチャンスを掴む 

 そしたら、千載一遇のチャンスが巡ってくるんです。
 
 大学のゼミの同期生が、JICAで働いて、たまたま電話かかってきたんですよ。「どうしてる?」って。そして、お互いの近況を話し合っていたら、「JICAで、今、社会人採用やっているから、受けたらどう?」って教えてくれた。まさに千載一遇のチャンスと思って、応募書類を取り寄せたら、なんと締切りの一週間前(愕然)。学業成績証明書や論文も作成して提出しなくてはならず、「もう間に合わないかな?」と半分諦めそうになったんですが、やるだけやろう、と応募しました。
 
 そしたら、無事に書類審査に合格。2次試験の案内が来たんです。会場は、関西大学のキャンパス。一体どれくらいの人がうけるのだろうと当日会場に向かっていくと、大勢の学生に出くわしたんですね。で、その学生達が、全員、JICAの試験会場に入っていくんです。「ええ~こんなにいるの?数百人はいるやん。。。」
 
 採用人数は、全国で10名。そして試験会場は、北海道から九州の主要5カ所くらいで実施。「関西だけで、受験生がこんなにいたら受かるわけないじゃない?」と思って、「今年は試しのつもりでいいかな?」とも一瞬思ったのですが、「いや最後まで絶対諦めない!」と気合い入れて二次試験受けました。そしたら、なんと2次試験まで突破できてしまったんです。
 
 2次試験は、英語、一般教養、小論文の3科目でしたが、そんなに難しくは感じませんでした。英語は普段からやっていたので自信はありましたね。ただ、一般教養と論文はもう対策のしようもなくて、分厚い社会事情を纏めた雑誌を読んだくらいでした。そして、3次試験は、面接と事務処理適正と健康診断のテスト。なんとこれも突破して、最後の4次試験は、最終面接。「もう、ここまで来たら合格するしかない」という気概でした。
 
 結果、奇跡的に合格したんですよね。あれは、まさに「神ってる!」でした。で、自分がフリーターになってから思い描いていた「海外で働きたい」という夢は、1年後に実現してしまったわけです。私は、今コーチング事業も行っていますが、コーチングで言えば、それはまさに「ビジョン」というものだったんですね。
 
 それから、JICAで15年、外交官として2年間働くことに。JICAも本当に素晴らしい職場でしたが、途中からJICAが変わったのか?、僕が変わったのか?どっちなのかはっきりしませんが、ここは私が一生いる場所ではなくなったかなと感じてからは、第2の人生に向けて、「次は何しようか?」と考えてました。
 
 足かけ、7年でしたね。「次は何しようか?」って考え始めてから。そうして、今の自分があるんです。今の人生は、自分の理想にかなり近い人生なのですが、ここまでたどり着くのにかなりの紆余曲折と経験をしましたね。
 
 

人生の舵は自分で取る

 何をお伝えしたかったかと言うと、「人生、色々」っていう演歌の話ではなくて(笑)、
 
 一言でいうと、「人生は自分でその都度、創り出していくものなんだ」ということ。
 
 最初から、理想の未来があるわけじゃないんです。
 
 経験しながら考えながら、そこで知り合う色々な人から学びながら、自分の本心と向き合っていく。
 
 それは、自由であり、創造的であり、エキサイティングであり、誰にも邪魔されない自分だけの人生なんです。
 
 人生って、行き先のないエキサイティングな旅なんですよ。
 
 人生の羅針盤は自分で作ったらいい。時には信頼できる人からの助言を受けることも必要です。
 
 だけど、舵を握るのは、あくまで「自分自身」です。
 
 自分が舵を握っているうちは、人生は豊かで自由で最高のものになるでしょう。他方で、舵を他者に委ねた瞬間から、自分の人生ではなくなります。

 

 他人に舵を握ってもらったほうが楽かもしれない。だけど、それは「自分の人生ではない」のです。

 
 自分で「人生の舵」を握ってください。
 
 そして、自分が舵を握る船には、あなたを支えてくれる人々が乗ってくれています。
 
 自分で握る「舵」の船は、決して一人ではありません。
 
 その船のクルー(乗組員)は、身近であなたのことを見守ってくれている人々であり、これから出会うであろう素晴らしい人々もクルーになってくれることでしょう。
 
 Steering your life. (自分の人生は、自分で舵を取れ)
 
  「自分は何がしたいのか?」と悩まれている全てのビジネスパーソンにエールを送ります。