長時間労働が問題の本質か?

2017.07.17

長時間労働が問題の本質ではない

電通での悲惨な事件を契機に、「働き方改革」が叫ばれています。

ここまでの議論を色々聞いていると、各マスメディアは、「長時間労働」が過労死や自殺、あるいは鬱病を含む健康被害などの主たる原因と見ているようです。それゆえ、残業削減、生産性、効率性などといった(労働の)「量」を起点とした議論が中心です。

ですが、長時間労働(量)が問題の本質なんでしょうか?

 

「質」の視点から

労働時間が極端に多い場合、例えば、一睡もできないくらい働かされるとか、のようなケースは論外だと思います。法定労働時間を守ることも勿論大事なことでしょう。ただ、これまでのところ、「質」の議論が不十分な印象を受けます。

著書『評価の基準』(日本能率協会マネジメントセンター刊)では、企業組織において、正しく評価される人になるには、心理的報酬(承認、一体感、貢献、成長)を自ら作り出せているかが鍵である、とお伝えしました。

「承認」:組織で働く一員として、周囲から認められているという実感(周囲から必要だと思われる)。

「一体感」:同じ会社で働く者として皆が繋がっているという感覚(安心安全を感じられる)。

「貢献」:人や組織あるいは社会に役立っているという実感(周囲から感謝される)。

「成長」:自信のレベルが上がっていくという感覚(周囲から感謝される度合いが高まる)。

 

これら4つの要素が満たされている時、人は充実した幸せなワークライフを送ることができます。これらは心理的報酬と言いますが、心理的報酬が満たされていないと、いくら給料が良くても、高い役職であったとしても、人は幸せを感じることはできません。

よくよく考えてみて頂きたいのですが、会社から全く認めてもらえず(承認されない)、会社の皆との繋がりも全く感じられず(一体感)、会社やお客様のお役に全く立てておらず(貢献できない)、自信も全く感じられない(成長)、こんな状態だったとしたら、どう感じるでしょうか?恐らく、その会社で働き続ける意味が無くなってしまうでしょう。

 

「働き方改革」の本質は、生産性や効率性の追求ではなく、働く人が幸せに働けるかどうか、のはずです。

こうした本質的な議論があまりされていないと感じるのは私だけでしょうか?

 

エピソード

私は、以前(といっても今から20年以上も前の話ですが)、某都市銀行で働いていました。銀行員時代ですが、実は残業も殆ど無く、夕方7時に頃には寮に帰宅できていて、休日もちゃんと丸2日休めていました。ですが、私はストレスで倒れ救急車で病院に運ばれてしまいました。胃薬の世話になり、頭髪の脱毛も激しかったです。その時は、心理的報酬がほぼゼロでした。

打って変わって、JICA(国際協力機構)でバリバリ働いていたとき、毎日午前様の状態で働いていた時が、2~3年ぐらい続いた時期もありましたが、ストレスはほぼゼロ。その時は、心理的報酬が沢山得られていたので健康被害もなく、充実したワークライフを送れていました。

そして、今、プロコーチとして独立して、もうすぐ1年経とうとしていますが、実は土日も殆ど休まずに働いています。勿論適度に休んだりはしていますが、午前様の時も多々あります。ですが、心理的報酬が最高レベルなので、もはや仕事と遊び(趣味)との区別すらついていない状態なのです。形式的な休み(週末の土日、祝日)の時間は、サラリーマン時代よりも圧倒的に少ないですですが(笑)、今までで最も充実した人生を過ごしています。

 

皆さんには多少でも似たような経験はありませんか?

つまり、労働時間に関係なく、幸せを感じる時と感じられない時があるという体験です。

 

まとめ

人間は、働こうが遊ぼうが、1日24時間という時間が平等に与えられています。給料は「我慢料」だと表現する人もいます。「労働は苦しく大変なものだ」という捉え方がされると、労働時間は短ければ短いほどよい、という議論になりがちです。また、できるだけ労働時間を短縮して、休みや余暇の時間を増やす方がよい、という二元論的な発想になりがちです。

労働時間を削ろうが増やそうが、働くことに幸せを感じられなければ、意味がありません。労働時間(量)の議論については継続しつつ、「質」を問う議論をもっと深化させる必要があります。

一つの切り口として提言したいのが、心理的報酬といった働く人の幸せに直接的な影響を与えるコミュニケーションや心理的側面に関する議論です。この議論無しに、「働き方改革」を進めても具体的な効果は期待できないでしょう。今後のさらなる議論の深化を期待しています。

 

 

-『評価の基準』の概要-

ビジネスパーソン1000人を対象に行った調査によると(日経ビジネスアソシエ:2016年)、職場の人間関係の悩みのトップは「正当に評価されていない」というもの。頑張っているのに、自分が思うような評価をもらっていないと悩んでいるビジネスパーソンに、都市銀行、JICA(国際協力機構)、外交官(外務省OECD日本政府代表部一等書記官)と、さまざまな優秀な人材があつまる組織に身を置いてきた著者が、組織心理学の知見をベースに「正しく」評価される人に共通する、日々の小さな習慣、ふるまいを紹介します。

ここで定義する評価とは、人事評価(金銭的報酬や地位的報酬)ではなく、周囲から自分の存在が認められ、組織に貢献しながら共に成長していけるという心理的報酬のこと。この本は、「自分は正当に評価されていない」という悩みに応える処方箋を対人関係を軸にまとめたこれまでにない画期的な内容となっています。

 

(丸善日本橋書店で週間ランキング第3位!)   (日本経済新聞朝刊1面6月9日掲載)

 

     

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読者のご感想

【読者の声①:もっと、きちんと私を評価して欲しい、と感じている全ての人にオススメです】
上司、部下、周りの人(同僚)、そして、「自分」から高い評価を得るための方法が具体的に述べられています。
「成功体験より失敗体験を語ろう」などすぐに取り組める例が満載です。
正しく評価される人と、そうではない人の間には、僅かな差しかなく、その仔細な部分に気付かせてくれる良書だと思います。
会社組織を例にして述べられていますが本書で述べられていることは、本質的に全ての人間関係に通じるものだと感じます。
印象的な言葉があります。
「他者と自分を比較するのではなく、自分を成長するための基準を持つ」こと、
そして「主体的に仕事をし、主体的に人生を歩んでいただきたい」
という著者からメッセージです。
私のような、自分が受ける評価がいつも気になるヒトには、得ることが多い本です。
手元に置いて、書かれているやり方をひとつひとつ試してみようと思います。

 

・・・・・・・・・・・・
【読者の声②:微妙な意識の差が大きな違いを生む】
コミュニケーションの中でこの本に書いてある微妙な差を知っているのと知らないのとでは、全く違う人生な気がします。
その「微妙な差の例の宝箱」のような本でした。
私の勝手な解釈ですが、この本に書いてあったのは「微妙な差」の積み重ねからでる驚くほどの成果です。
知る人と知らない人の差が相当でるだろうと感じます。
この微妙な意識の差は読んでみてかなり大事なことだと感じ書かせていただきました。
例えば
・普段単純に発している「ありがとう」がどうしたらもっと「伝わる」のか?
・人を「褒める」時に何を意識していることでよりつながりをうむのか
・情報を伝える時に何を意識していることでより相手に役立つのか
微妙なことなんですが、
意識しているだけで、全く違った人間関係や人生になる気がしました。

そんな話がたくさん載っていて気づきもかなり多く、しかもわかりやすいです。
何度も読み返したくなるような本です。
おすすめです。

 

・・・・・・・・・・
【読者の声③:働く喜びを自ら作れると教えてくれる本】
現状を変えたくて、いくつか本は読んでみたけれど、結局あまり変わってない…と落ち込むことが多かった私が、初めてすぐにやってみたくなった本です。
読み終わった後にホッとして、「よしこれやってみよう!」とすぐに行動できる工夫や小さな習慣がたくさん載っています。
どれも周りの人を理解して大切にして良い関係を築けるものばかりです。
読み終わった後の安心感は、たぶん著者の深く温かい人柄が文章の根底に感じられ、癒されるのだと思います。
いい関係を作ろうと頑張ってみたけどダメだった…
そんな人間関係の悩みも多い私ですが、この本を読んだ後には、
「あ、ちょっと頑張る方向が違っていただけなんだ!」
と次はいい関係を作れていそうな自分が想像できました。
昨日まではやってみようと思ってもみなかったことをやっている自分に
→今日の自分は良かったね!と自分でいい評価を出せる日ができて
→と同時に周囲からもいい反応をもらえて嬉しい気持ちになることもあり
→いい気分だったのでまたやってみたくなり
→仕事がちょっとずつ楽しくなってきている!
…と小さな変化を感じていて
働く喜びを自分で作れるのかも?と期待しています。
もし、私のように自信がない人や
一方的に与えられる評価に不満を感じている人がいたら、読んでみてほしいです。
その他にも
・もっと価値のある仕事をしたいと現状に不満を感じている人、
・やりたくないけどやらなければいけない仕事がいっぱいで苦しんでいる人、
・仕事に人とのつながりやしっかりと認められてる実感を肌で感じたい人、
・自分は役に立っていると心から思えて働くことに生きがいを感じイキイキしたい人、
・仕事を通して周りと良い関係を築きながらも自分を成長させていきたい人、
にも役立つ内容がたくさんです。
笑顔になれて、上を向いて1歩踏み出せる人が増える本だと
心から思うのでおすすめしたくレビューを書きました。
私はこの本に巡り逢えてよかったです。

 

ー目次ー

はじめに

序章
●あなたは“正しく”評価されたいですか?
●評価される人に必要な「第3の報酬」
●私の経験?社会人デビューでいきなりの挫折
●イギリス有名大学の修士学をもってしても、認められない!?
●私を変えた、部下の小さなひと言 
●正当に評価されるための3つのポイント
●正しく評価される人と評価されない人の、ちょっとした差

第1章「あいつに任せよう」を引き出すための小さな習慣
1 「認めてほしい」という前に上司を認める
2 タイムリーなムダ話で人を巻き込む
3 話をまとめるときは隣に座る
4 報告のタイミングを間違えない
5 最後の一筆だけは相手に入れてもらう
6 要望に応える前に、要望の本質を見抜く
7 相手の意見には合わせず「受け止める」
8 苦手な上司からは昔話を聞く

第2章 「この人について行きたい」と人をひきつけるための小さな習慣
1 「決めつけ言葉」で話しかけるのはやめる
2 相手が落ち込んでいるときは、ただ「待ってあげる」
3 部下を理屈で説得するより、体験で共感させる
4 職場を抜けて2人だけの空間と時間をつくる
5 成功体験よりも失敗体験を上手く使う
6 「ありがとう」の代わりの言葉を見つける
7 出る杭には「いいね!」を連発する
8 目立たない人は人前でほめない

第3章 「あの人やるね!」と周りの見る目が変わるための小さな習慣
1 知りたい情報はあえて聞かない
2 反対意見は「相手を否定しないで」伝える
3 会議では「違和感」に対して敏感になる
4 会議では「賛成」「反対」「それ以外」の3つを考える
5 非言語で対話する
6 「調整役」を買って出ることで、信頼をつかむ
7 相手が本当にほしい情報は流さず「溜める」
8 3つの目線で物事を解決する
9 お互いに忙しいときほど足を運んでワンメッセージを大事にする

第4章「自分にYes!」を出すための小さな習慣
1 人から与えられた課題を「自分ごと化」する
2 与えられた環境に流される
3 困難は熱いうちに「叩く」
4 小さな成功体験を自分でほめてみる
5 恩は返さず、「引き継ぐ」 
6 自分の「得意」より相手のニーズを優先する
7 残業を仕事にしない 
8 社外人の表情から学ぶ
9 自分との約束を優先する
10 今日の自分より優れる

おわりに

 

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