組織に根付く1on1の進め方『月間人事マネジメント』で新連載!

人事系の専門誌として、大手企業の経営・人事・総務を始め、人事改革に意欲的な全国の中堅・中小企業より強い支持を得ている『月間人事マネジメント』からのご依頼を受けて、今月の11月号から約半年間の6回にわたり、「組織に根付く1on1の進め方」というテーマで連載記事を寄稿することになりました。
 
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掲載記事の本文

初回の11月号では「1on1が必要とされる背景とその効果」について書いています。

連載シリーズとして寄稿するのは初めてですが、少しでも多くの企業様や関係者の方々のお役に立てればと思っています。

1on1が必要とされる背景とは?

リーダーは「多数の人々」を動かす存在であるというのが、これまで組織にとっての常識でした。

従来の組織では、組織の合理的かつ効率的な運営上、一人のリーダーが多数の部下を動かすという「1対多の構造」が前提となっていたのです。では、何万、何十万という構成員からなる組織のトップが一人一人を管理できるか?と言えば、それは物理的に不可能です。従って、現実的に現場で人を動かすには、ある程度人数が絞られた単位でマネジメントすることになります。

歴史を振り返ると、かつて世界最強と言われたモンゴル帝国では、部下の管理単位は10名とされていて、この単位を増やすことで1万人の人員を統率できたと言われています。実際、経営学や組織論でも扱われる「スパン・オブ・コントロール」(リーダーが直接的に管理している部下の人数や業務領域)のセオリーでは、管理できる最適な部下の人数は最大で10名程度とされています。

このことから、多くの企業において、実働部隊となる課やチームは概ね5人~10人程度の単位となっており、業務効率化の観点からも、リーダーはこのレベルの人数を相手にマネジメントすることが定石でした。このような背景から、1対1のマネジメントというのは非効率であり、物理的にも対応困難と思われてきたのです。

世界の超一流企業が1on1を社内制度化している

ところが、ここ数年、アメリカのシリコンバレーに端を発し、グーグル、ヤフー、マイクロソフト、インテルほか、日本の東証一部上場企業においても「1on1」(ワン・オン・ワン)という名称で1対1のマネジメント手法が普及しつつあります。

 産業革命以降、企業や組織は生産性を高めるべく、人材マネジメントの効率化を追求し続けてきた結果、「部」、「課」、「グループ」、「チーム」といった集団単位によって仕事を動かすのが当たり前であったにも関わらず、なぜ今、一見非効率とも思われるような「1on1」が注目されているのでしょうか?

 

1on1が世間から注目される理由

まず最初に注意すべき点は、1on1は多くの企業が既に行っている1対1の人事面接、あるいは業務の打ち合わせなどとは全く異なるものだということです。1on1は、単に1対1で顔を合わせればいいというものではありません。では、何が異なるのか言えば、一言で言うと「1対1のコーチング」と言えるでしょう。

1on1では、コーチングが主たるコミュニケーション手法となります。そのため、1on1を機能させるには、上司の側がコーチングスキルをある程度身に着けて、コーチとして部下と関わることが極めて大切な要件となります。

もし、上司がコーチングを知らずにあるいは中途半端なスキルで1on1を行うと、期待される効果が得られないばかりか、部下を追い詰めてしまったり、お互いにとって非常にストレスになったり、安全な場が危険な場となるなど、逆効果になります。ですので、1on1を導入する場合には、必ず経験のある信頼のおけるプロコーチの指導が必要です。

実は1on1には多くの期待できる効果があります。

まず第一に「心理的安全性」です。心理的安全性が仕事のパフォーマンスを発揮させる上で極めて重要な要素であることは、グーグルが4年の歳月をかけて実施した研究プロジェクトでも報告されています。1on1おいて、コーチングを通じてラポールが形成されていくと心理的安全性が非常に高まります。また、お互いに守秘義務を守り、第三者に干渉されない場が確保されることも心理的に安心安全な場を作りだすうえで大切です。

第二に「信頼関係が強まること」が挙げられます。1on1は通常、週に1回、あるいは隔週1回、最低でも月1回といった頻度で継続的に実施されます。これにより、ザイアンス効果(単純接触効果)が高まり、さらに相互理解が進むことで、上司と部下との間に親近感が生まれます。

第三に「部下の主体性を高める」ことが挙げられます。これはコーチング本来の目的とも関連するのですが、コーチングでは基本的に教えたり、アドバイスしたりしません。これは先生と生徒のような上下関係を前提とするティーチング(教える)との決定的な違いであり、コーチングの主たる特徴とも言えるでしょう。

コーチングでは、部下の考えや思いを傾聴しながら、部下の才能や能力、可能性を引き出すために質問を投げかけて、部下が自発的に行動できるように促していきます。アドラー心理学では「自己決定性」とも言われたりしますが、これは「自分のことは自分で判断して決める」という他人や環境に振り回されない自責の考え方をベースとしています。

その他、「社員のやる気やパフォーマンスの向上」、「リーダーシップ力の向上」、「問題の早期発見」、「目標達成を容易にする」、「人材流出の防止」など、様々な面において効果が期待できます。

このように、1on1には様々な効果が期待されることから、組織活性化、人材育成、業績向上等の目的を理由に多くの企業が社内導入を進めているのです。

1on1の効果的な社内導入については、弊著『聞く力こそがリーダーの武器である』(フォレスト出版)でもお伝えしていますので、是非ご一読ください。

 

【本書の主な内容】
・聞けるリーダーと聞けないリーダー
・リーダーのための「聞く力」の基本
・部下が動き出す「1on1」の技術
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