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「部下が動かない、育たない」という悩みは、リーダーにとって大きな課題の一つです。これまでリーダーは、人や組織を動かすために指示命令を徹底したり、伝え方を変えたり、と工夫してきましたが、上手くいきません。いったい何が欠けているのでしょうか?
本書は、リーダーが今まで気づかなかった「聞く」という視点にフォーカスし、組織心理学やコーチングの視点、及び現場での実践結果などをもとに、「リーダーの聞く力の重要性」を解き明かしています。
なぜ「聞く力」がリーダーにとって重要なのか?
リーダーにとって「聞く力」が重要な理由は、聞く力とは「人を理解する力」だからです。部下が動かない、チームがまとまらない問題等、会社組織で起こる問題の数々は、「人に対する理解不足」が原因です。
「私は部下の話をちゃんと聞いている!」と反論される方もいることでしょう。実は、聞くには「二つの視点」があります。一つは「相手の言葉(話)を聞く」という視点。もう一つは「相手の感情(心)を聞く」という視点です。
部下の話を聞けているという方は、部下の話は理解しているのかもしれませんが、部下の感情(気持ち)までは理解できていません。部下に対し、どれだけロジカルに言葉を尽くして伝えたとしても、部下に対して理解しようという思いや共感がなければ、部下は動いてくれません。
「人は論理ではなく、感情で動く」というのは手垢のついた言葉ですが、まさにその通り。多数の人々を率いるリーダーであるからこそ、なおさら人を理解するための「聞く力」が不可欠なのです。
部下が動いてくれない本当の理由
部下が動かないと嘆く上司は、実は「部下とのラポール」が欠けています。ラポールとは、シンプルに言うと信頼関係ですが、要するに部下のことをちゃんと聞けていないのです。
部下のことを聞けていなければ、部下のことを理解することはできません。理解できなければ信頼関係はできません。信頼関係ができてなければ、上司の言葉は部下の心に響かないのです。
人は自分のことを理解してもらった時、相手と心を通わすことができます。これが心理的安全性を高め、信頼関係のベースとなります。部下とのラポールが構築されてはじめて、部下はみずから動いてくれるようになるのです。
「話すは技量、聞くは器」と言います。部下の成長は、上司の器の大きさに比例します。部下の成長を願うのであれば、己の「器」を磨き、器を大きくしていくことが大切です。
人事担当の方が部下育成や組織活性化などでお困りの際、ご参考としてお読み頂ければと思います。
まとめ
「聞く力」とは「人を理解する力」です。人を理解するには、相手の話していること(言語)、と相手の感情(非言語)の両方を理解する必要があります。
部下が自ら動けるようになるには、部下とのラポールが大前提となります。ラポールは傾聴を通じて、相手を深く理解することで徐々に構築されていきます。
新刊『聞く力こそがリーダーの武器である』(フォレスト出版)では、聞く力にフォーカスした部下のマネジメントスキルについてもお伝えしています。
【本書の主な内容】
・聞けるリーダーと聞けないリーダー
・リーダーのための「聞く力」の基本
・部下が動き出す「1on1」の技術
・人を育てるフィードバックの技術
・リーダーが大切にすべき自分の声を聞く技術