会社・組織を強くする1on1の仕組み『月間人事マネジメント1月号』に寄稿!

人事系の専門誌として全国の中堅・中小企業より強い支持を得ている『月間人事マネジメント』からのご依頼を受け、「組織に根付く1on1の進め方」というテーマで全6回の連載記事を執筆中!今回は第3回目の寄稿ということで「会社・組織を強くする1on1の仕組み」について解説しています。
 
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掲載記事の本文

今回の記事では組織や会社において1on1を効果的に運用・実施していくためのポイントについて解説しています。

社員一人一人を大切にすること

「組織を活性化するにはどうしたらいいですか?」

私はエグゼクティブコーチのみならず、組織心理学の専門家でもあることから、このようなご相談を企業関係者の方々から受けることがあります。私の答えはいつもシンプルで「社員一人一人を大切にすることです」とお答えしています。ありきたりかもしれませんが、組織を活性化するには実はこれが最も大切なことです。

組織の規模が大きくなればなるほど、「大切な存在」のはずの社員が機械の歯車の一つのようにしか扱ってもらえない傾向が強くなります。「お前の代わりぐらい他にいくらでもいるんだ!」と切り捨てられてきた社員はどれほどいることでしょうか。

「組織とは一人一人の人の集まり」です。組織を生命体と考えるとわかりやすいですが、生命体を構成するのは一つ一つの細胞であり、これらの細胞が元気でなければ、生命を維持することはできません。組織も全く同じです。原理原則に立ち返れば、組織の構成員である社員一人一人を大切にし、社員が元気に働けるような環境を創造することが必要不可欠なのです。

組織コミュニケーションの形態は2つある

 

組織コミュニケーション

個人と組織との関係は双方が互いに影響し合いながら、共に変化していく「相互作用ダイナミズム」(複数の要素が互い影響を及ぼし合って全体的に変化を生み出す作用)の関係にあります。

組織には、フォーマルな組織(組織規程にある部、課、チームなどの職務上の組織)とインフォーマルな組織(職務上の関係を離れた人の集まり。若手の会、同好会、感情に基づく人間集団等)があります。

組織はフォーマルな組織とインフォーマルな組織との相互作用ダイナミズムによって、組織全体の意思決定や組織文化が形成されていきます。つまり、組織は単にフォーマルな側面だけで成り立っているわけではなく、インフォーマルな側面も含めて組織全体を理解、把握する必要があるということです。

このような組織形態によるコミュニケーションは、フォーマルとインフォーマルの2軸で構成されます。フォーマルなコミュニケーションの特徴として、本音で話せない、同調圧力に流される、職務権限や役割による意思疎通の制約などが挙げられます。

その結果、組織の改善や成長のために本来共有された方がいい情報(表に出ない隠れた情報。何らかの隠蔽やパワハラ等といったネガティブなものから、課内の専管事項ではないけれども、部あるいは組織全体にとって役立つ業務効率化のアイデアなど)が共有されずに、問題が大きくなってから発覚するリスクがあります。

一方、インフォーマルなコミュニケーションは、組織規定や役職権限などに縛られず、自由な場であるため、組織内における知識共有やイノベーションに効果的であるとか、仕事の生産性向上やワークモチベーションにも影響を与えるとの研究もあり、フォーマルなコミュニケーションを補完する「潤滑油」として機能しています。

1on1は組織活性化に不可欠な「関係の質」を高める

このように組織には2つのコミュニケーションのルートがある中で、「1on1」は、フォーマルなコミュニケーションの場でありながら、インフォーマルなコミュニケーションが持つメリットを取り込んだ非常に画期的なコミュニケーションの手段なのです。

 1on1の持つ効果については、前回の記事でお伝えしたとおり、「心理的安全性を高める」、「信頼関係を高める」、「部下の主体性を高める」などといった組織の活性化には不可欠な効果を生み出します。これは、ダニエル・キム教授が提唱した有名な「組織の成功循環モデル」とも高い関連性があるのですが、本モデルの最大の特徴は、「関係の質」を最も重要なエントリーポイント(出発点)としていることです。

「関係の質」が高い状態、つまり、心理的に安心安全を感じられる人間関係で結ばれ、信頼関係が強い状態が作られると、「思考の質」が高まって新しいアイデアやチャレンジ精神といったポジティブな思考が働きやすくなります。その結果、「行動の質」がどんどん良くなり、社員が主体的にあるいは積極的に行動できるようになり、協働や貢献といった質の高い行動へと繋がります。最終的には、それらの行動によって「質の高い結果」(成果)が生み出されていくのです。

一方、多くの企業が最初に意識を向けるのは、「関係の質」ではなく、「結果の質」です。そのため、業績が悪化している場合、まずは「結果の質」を上あげようと必死になります。そして結果に意識が集中するあまり、「関係の質」を悪くしてしまいます。上司と部下の対立、他者への責任転嫁、相互不信といった負の関係に陥ります。

そうすると、受け身になったり、失敗を避けたいというマイナス思考となって「思考の質」が落ちていきます。その結果、消極的になったり、利己的な自分優先の行動を招くなど、「行動の質」が低下していきます。最終的には、成果がどんどん落ちていくという負のスパイラルです。

組織を活性化し、組織の成功循環を生み出していく上で大切なことは、「関係の質」の向上を最重要事項として取り組むことなのです。

組織活性化のための1on1の効果的実践法については、弊著『聞く力こそがリーダーの武器である』(フォレスト出版)でもお伝えしていますので、是非ご一読ください。

 

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